稲村ケ崎というのは海に面した小さな山のような地形で、そこに車二台が何とかすれ違える程度の道が一本だいたい真っ直ぐに奥につづいていて、このあたりの人はこの道の事を「一の谷戸」と呼ぶらしいが、僕たちはたんに「車道」あるいは「車の道」と呼んでいて、その道から細い道が枝分かれしているが、そういう道は少し行けば行き止まりになるか山に入っていく道に変わっていく。(39ページに記載)